<執筆者:弁護士 生田秀>
相手方が老齢年金や障害年金等の公的年金を受給している場合、年金の受給権を差し押さえることはできるのでしょうか?
結論からいうと、できません。
公的年金の年金受給権は、差押えが禁止されているからです。
ただし、年金受給権自体は差押禁止債権であるものの、年金が銀行口座に振り込まれた後の預金については、預金債権を差し押さえることが可能です。
なお、年金保険等の公的年金以外の私的年金については、養育費債権に基づき差押をする場合、給付額の2分の1までの範囲で差押えができます。
他に差押えが禁止されている債権としては、生活保護や児童手当、児童扶養手当の受給権等があります。
新型コロナウィルス対策の特別定額給付金も、給付金を受ける権利を差し押さえることはできず、給付を受けた金銭を差し押さえることもできません(令和二年度特別定額給付金等に係る差押禁止等に関する法律)。給付金が銀行口座に振り込まれた後で、預金債権を差し押さえることは可能です。
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