自分が妊娠していることがわかり、交際相手に認知を要求したものの、断られてしまったというケースは珍しくありません。養育費だけでももらえればいいと思うかもしれませんが、実は認知されていない子供の養育費は請求できないのです。このような場合の対処法を見ていきましょう。
認知されて初めて、養育費を請求することができる
認知されていない子供の養育費を「父親」に請求することはできません。認知は子供との親子関係を認める行為であり、認知することで初めて法的な親子関係が成立し、養育費の負担義務が発生するからです。養育費を請求したければ、何よりもまず認知してもらう必要があります。
認知は妊娠中でも出産後でも可能ですが、問題をスムーズに解決するためにも、できる限り早い段階で行った方がいいでしょう。妊娠後に認知を行った場合は、出生時まで遡って親子関係が認められます。
相手が認知をしてくれない時は、認知調停を申し立てよう
いくら頼んでも認知をしてもらえない場合は、家庭裁判所に認知調停を申し立てましょう。調停では、第三者である調停委員を間に挟み、合意に向けて話し合います。裁判所が親子関係の事実を調査するので、高確率で認知をしてもらうことができます。
ただし、調停は必ずしも結論が出るわけではありません。相手が参加しなければ調停は開けないからです。その場合は、裁判で決着をつけることになります。
DNA鑑定は強力な証拠。調停や裁判では必須だが費用が高い
認知を要求する際、強力な証拠となるのがDNA鑑定です。親子関係があるかどうかを、ほぼ確実に証明することができます。調停や裁判では、法的な効力を持つ証拠としてDNA鑑定は必須になります。「自分が父親のはずがない。DNA鑑定をしよう」と相手方から言われることもあります。
DNA鑑定の費用は、出生後の鑑定で10万円前後、妊娠中の鑑定で20万円前後です。調停でDNA鑑定を行う場合は、申立人が費用を負担するのが基本となります。決して安い金額ではありませんから、認知してもらったあとで、事情に応じて、相手方に費用の一部または全部を請求することも考えておきましょう。
◯まとめ:DNA鑑定を利用し、早期に認知をしてもらおう
現代では、DNA鑑定のおかげで親子関係の証明がとても簡単になっています。生まれてくる子供のためにも、できるだけ早く認知をしてもらってください。
(この文章は弁護士監修のもと掲載しております)