<執筆者:弁護士 生田秀>
新型コロナウイルス感染症対策の10万円の給付金。
2020年4月27日時点での住民票の世帯主宛てに、5月末頃より、各自治体から特別定額給付金の郵送申請の申請書が送られてきます。
DV被害があり住民票を移さずに避難している人と子どもたちは、避難先の市町村に「申出書」を提出することで、住民票上の世帯主ではなくても、直接、自分と同伴者である子どもたちの分の給付金を受け取ることができます。
2020年4月30日までの事前申
出期間に「申出書」を提出するのが原則ですが、4月30日を過ぎても申し出は受け付けられますし、直接給付を受けることができます。
4月28日よりも後に避難をしたDV被害者の方も対象です。ですので、いままさに避難をしようと思っている方も、諦めないでください。
直接給付金を受けるための要件は、①~③のどれか1つを満たす場合です。
①裁判所による保護命令が出されていること
②婦人相談所による「証明書」又は、市民団体、市区町村、民間支援団体等による「確認書」が出されていること
③4月28日以降に住民票を移動し、住民票の閲覧制限などのDV支援措置を受けていること
【いま避難しようと思っている人がすべきこと】
一人で悩まず、配偶者暴力相談支援センター等の電話相談を利用して相談する
<施設一覧>
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/pdf/center.pdf
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DV(配偶者その他の親族からの暴力、性暴力被害等)がある状況からの避難を決めて、実行する
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警察署の生活安全課に相談する
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避難先に住民票を移し、DV等支援措置の申出をする。
同時に、「特別定額給付金受給に係る配偶者からの暴力を理由に避難している旨の申出書」を避難先の市町村に提出する
(参考)横浜市の書式
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/teigaku/teigaku.files/0028_20200511.pdf
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4月27日時点で世帯主ではなくても、特別定額給付金を避難先の市町村から直接受け取ることができる
避難先の市町村は、避難前の住民票がある市町村との間で連絡調整をしますが、その前に避難前の世帯主に対する支給決定がされてしまった場合、避難前の世帯主と避難者自身に対して特別定額給付金が二重に支払われてしまう可能性があります。その場合は、避難前の住民票の市町村が、避難前の世帯主に対して、避難者の分の特別定額給付金の返還を請求することになります。避難者が返還をする必要はありません。