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Child support養育費コラム

2019年08月12日

債務者が自営業者の場合、養育費の金額を決めるには

<執筆者:弁護士 生田秀>
本コラムでは、養育費の金額を決めるにあたって、相手方が自営業者の場合について解説します。

1 総収入の認定
養育費の金額は、家庭裁判所の養育費算定表に基づいて、双方の総収入を基礎にして決定するのが一般的です。
総収入を認定するにあたって、給与所得者の場合は、源泉徴収票の「支払金額」の欄の数字を使用します。2か所以上から給与をもらっている場合や年の途中で転職している場合には、源泉徴収票が2枚以上あるはずですので、それぞれの支払金額を合計します。
では、自営業者の場合の総収入の認定はどのようにすればよいでしょうか。

2 確定申告書から総収入を認定する方法
この場合は、確定申告書を提出してもらいます。そして、確定申告書の「所得金額」(売上に該当する「収入金額」ではありません)の欄の数字から、「社会保険料控除」の欄の数字を引いた金額を、その人の収入として認定します。確定申告書では、「社会保険料控除」の他にも「医療費控除」や「扶養控除」「基礎控除」などを引いて「課税される所得金額」を算定することになっています。

しかし、「医療費控除」は算定表においては特別経費として既に考慮済の事項であること、「扶養控除」「配偶者控除」「基礎控除」については、現実には支出がされていない金額であることから、養育費算定の基礎となる収入の認定にあたっては考慮されません。「小規模企業共済掛金等控除」も本人の資産形成のための費用ですから、控除を認めるべきではないと思います。
「社会保険料控除」のうち、国民年金基金掛金やiDeCo(個人型確定拠出年金)も、本人の財産形成に資するものですので、収入から控除してよいかどうかについては議論の余地があるとされています。

3 収支内訳書の内容も確認
また、確定申告書で収入を認定する場合には、事業所得の「所得金額」の根拠となっている収支内訳書も必ず提出してもらってください。収支内訳書の中で「減価償却費」や現実に支払いがされていない「専従者給与」が控除されている場合は、これらを控除しないで収入を算定する(「所得金額」にこれらの費目の金額を加算する)ことができます。

4 算定表の「自営」の欄を使用
自営業者の場合は、養育費算定表を適用するにあたり、「給与」ではなく「自営」の欄の数字を使用します。自営業者の方は、一般的に、事業上の経費と生活費の区別がつきにくく、所得金額が実際の生活水準と比較して少なくなってしまうからです。
この点、経費の考え方は人や業種によって違いがありますので、「自営」と十把一絡げにしてしまうことに個人的には疑義がありますが、そもそも養育費算定表の基礎となる標準的算定式自体が統計的な手法で作られたものですし、他に適切な方法も無いので致し方ないと考えています。

人によっては、相当な金額の経費を上積みすることにより、実際の生活水準と比較して極端に所得が少なくなっている場合があります。もっとも、実際の所得を本人以外の人が立証することは容易ではなく(例えば、同種の事業の一般的な経費率と比較して極端に利益率が低いこと等を立証する必要があるでしょう)、特に税理士が関与して申告をしている場合には、経費の過大性を争うことは難しいと感じています。

義務者(支払う側)が自営、権利者(受け取る側)が給与収入の場合は、縦軸は「自営」、横軸は「給与」の欄の数字を使用します。
自営業者の方が養育費を支払った場合は、現実に支払った金額を、確定申告にあたって「扶養控除」として計上できます。

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