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Child support養育費コラム

2019年08月20日

権利者、義務者のどちらかが海外に住んでいる場合の養育費請求について

<執筆者:弁護士 生田秀>
本コラムでは、海外に住んでいる権利者から、父親である日本在住の義務者に対して養育費を請求したいというケース、
あるいは、海外に住んでいる義務者に対して日本に住んでいる権利者から養育費を請求したいというケース、について解説します。

どちらの事案も相談を受けたことがあります。

当事者が、日本とは物価の違う国に住んでいた場合、請求できる養育費の金額に違いはあるのでしょうか。

大阪高裁平成18年7月31日決定(家月59巻6号44頁)は、こんな事案です。

申立人夫婦はタイで生活していましたが、妻が長男を連れて日本に帰国して別居。その後、夫はタイ人女性を内妻にして、新たに子を2人もうけました。
妻が婚姻費用を請求したところ、夫は、内妻と内妻との間の2人の子を扶養している事実を考慮すべきと主張しました。

大阪高裁は、夫の主張を一部受け入れて、夫が内妻との間の2人の子を扶養している事実を婚姻費用算定にあたって考慮しました。

ただし、当時、タイの物価が日本の半分程度であることを考慮し、夫の生活費指数1050、内妻との間の子の生活費指数を各27.5と、指数の数値を通常の半分にして計算しました。その分、支払うべき養育費が増える計算になります。

なお、当時妻とは離婚が成立していないので、内妻を扶養しているとして婚姻費用の減額を主張することは信義則に照らして許されず、内妻の生活費指数は算入されていません。

また、理由の中では、物価が異なるという事情を、夫の基礎収入割合を通常よりも高く設定する形で考慮する方法も示唆されています。

現在では日本とタイの物価の差は当時と比較して縮小している可能性がありますが、算定表はあくまで日本の物価水準を前提に作成されているので、このケースのように、権利者や義務者が物価の異なる外国に居住している場合には、①基礎収入割合の設定や②生活費指数の設定において、物価の違いが考慮される可能性があります。

もっとも、物価の安い国に住んでいるといっても、その国の平均的な生活水準で暮らすのであれば確かに生活費が相当安くなるのかもしれませんが、日本と同等の生活水準を維持しようとすれば、かえって生活費が高くなるとも聞きます。その人がその国で生活している理由や、実際の生活状況も考慮し、ケースバイケースで決めていくしかないのではないかと思います。

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