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Child support養育費コラム

2019年08月06日

【民事執行法 改正/財産開示手続1−3】具体的な申し立ての手順

<執筆者:弁護士 生田秀>

続いて、養育費請求の事例を対象として、どのように財産開示手続の申立てをすればよいか解説します。

1 住所調査

まず、申立てをする裁判所は、債務者の住所を管轄する裁判所になります。

債務者が、判決や調停調書などの債務名義に記載された住所に現在居住していない場合には、住所調査を行い、住民票や戸籍附票等で、債務名義に記載された住所と現在の住所のつながりを示す必要があります。

続いて、財産開示手続の申立書を作成します。

2 申立の要件

申立の要件として、197条1項1号・2号、197条2項1号・2号のどの要件を満たすかを選択する必要がありますが、養育費請求の場合は、通常197条1項2号を選択します。過去に強制執行を実施して空振りだった場合は、197条1項1号なのかと迷うかもしれませんが、申立日前6か月に配当期日が実施された場合以外は、197条1項2号です。

また、197条3項の要件については、当該事案において財産開示期日の申立てをするのが初めてであれば、「債務者が,本件申立ての日前3年以内に財産開示期日においてその財産について陳述したことを知らない。」を選択します。

3 財産調査結果報告書

197条1項2号で財産開示期日を実施するためには、「知れている財産に対する強制執行を実施しても,金銭債権の完全な弁済を得られない」ことの疎明が必要です。

そこで、財産調査結果報告書を申立書に添付します。疎明ではありますが、相応の調査は必要です。

少なくとも、債務者の居住場所が第三者所有であることの疎明は、住所の表示が明らかにアパート名であるような場合であっても必要でしょう。そのため、債務者の現住所の不動産の登記を取得して、ブルーマップと登記事項証明書を報告書に添付します。

また、債務名義に「会社員」などの記載がある場合は、既に退職していると家族から聞くなどして知っていたとしても、いちおう過去の勤務先に電話して在籍を確認します。

弁護士会照会による預貯金の調査までは求められたことはありません。

過去に差押えを実施して不奏功であった場合は、債権差押命令や第三債務者の陳述書等の関連する資料を添付します。

4 執行力ある債務名義の正本

現在(2019年、法改正前の時点)、財産開示手続の申立てができるのは、判決、和解調書(裁判上の和解)、調停調書、審判書等の債務名義をお持ちの方のみです。公正証書と仮執行宣言付支払督促は対象外です。

債務名義の正本は、原本が必要です。過去に差押えを行ったものの何らかの理由で取下げをしていない方は、取下げをして債務名義を還付してもらう必要があります。債務名義を紛失してしまった方は、事件番号が分かれば、再発行をしてもらえます。事件番号も失念してしまったような場合は、時期や当事者名を裁判所に伝えて探してもらってください。

債務名義には、債務名義を作った裁判所で、執行文と送達証明書を付けてもらいます。調停調書の場合は、送達が未了の場合も多いので、調停調書の送達で時間がかかる場合があります。執行文は、請求が養育費だけの場合は不要です。養育費に加えて慰謝料や財産分与の未払分も請求したい場合は執行文が必要です。また、養育費とはいっても、大学進学を条件に学費を支払うなど、支払いが一定の条件にかかっている場合は、条件成就執行文を取得します。

5 最後に

これらの手続を個人で行うのはなかなか大変ではないかと思います。また、財産開示手続が実施される場合には、指定された日に裁判所に出頭しなければなりません。そして、財産開示や、第三者からの情報取得手続によって強制執行の対象が判明したとしても、その後は実際に強制執行の手続も待っています。権利の実現は簡単とは言えないのが実情です。

一方で、債権者側で行動を起こさないことには、何も現状は変わりません。まずご自分で進めてみて難しければ弁護士に依頼するということでもいいですし、当初の段階からご依頼いただいても大丈夫です。せっかく新しい制度ができるのですから、過去に悔しい思いをされた方も、再度チャレンジすることをお勧めします。

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