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Child support養育費コラム

2022年08月09日

法定養育費制度について

現在、法務省の法制審議会家族法制部会の中で、離婚に関する法制度の見直しが検討されています。

 

離婚に際して共同親権を選択できることにするかどうかが大きな争点となっていますが、これとともに、離婚後の面会交流や養育費についての定めを置くことを義務化するかどうかという点についても議論の対象となっています。

 

これまでも、調停離婚をする場合や公正証書を作成して協議離婚をする場合は、養育費や面会交流についての取り決めをした上で離婚がされていました。

 

しかし、離婚届への署名押印のみによって協議離婚をする場合には、養育費や面会交流についての取り決めをしなくても離婚は可能でした。離婚届の用紙には「取り決めをしている。」「まだ決めていない。」というチェック欄がついていますが、「まだ決めていない。」場合でも離婚届は受理されます。

 

現在議論されている内容は、原則として「養育費や面会交流についての取り決めをしなければ離婚できない」という法制度に変更すべきかどうかという点です。また、取り決めの内容について、弁護士等による確認を受けなければならないものとする案も検討されています。

 

「原則として」とされているのは、離婚に至る過程で冷静な話し合いができないなど、父母間の冷静な協議ができない事情がある場合も存在するからです。そのような場合でも必ず取り決めをしなければならないとすると、1日でも早く離婚をしたい側や弱い立場にある側が不利な条件で取り決めをしてしまうことが想定され、結果的には子どもにとって利益にならない可能性があります。

 

養育費や面会交流の取り決めがされずに協議離婚が成立してしまうケースが54.2%(平成28年度全国ひとり親世帯等調査)であることを考えると、取り決めの原則義務化は子どもの利益になりますが、不利な条件での合意は結果的に子の不利益となるため、「父母が協議をすることができない事情がある旨を申述した」という例外が広く認められることが望ましいと言えるでしょう。

 

このように、父母が養育費等について協議をすることができない場合に対応する制度として、「離婚時から一定の期間にわたり、法定された一定額の養育費支払請求権が発生する仕組み」(法定養育費制度)を新設することが検討されています。

 

その期間については、①父母間の協議で養育費の定めがされるまでとする考え方と、②法令で一定の終期を定めるとする考え方があるとされています。また、金額については、①最低限度の額を法令で定めるとする考え方と、②標準的な父母の生活実態を参考とする金額を法令で定めるとする考え方がある、とされています。

 

現在は、養育費等は「請求したところから発生する」という運用がされており、内容証明の送付や調停の申立てなど明確な請求の意思表示をしなければ、支払ってもらうことができませんでした。法定養育費制度の導入により、離婚時に遡って一定額の支払を請求できるということになるかもしれません。

 

また、後日、父母間の協議や養育調停等によって養育費の金額が定められた場合に、法定養育費の金額との差額を清算するための規律を設ける考え方があるとされており、離婚時に遡及して差額を請求できるようになることが期待されます。

 

具体的な制度内容については「引き続き検討するものとする」とされており、今後の検討に委ねられています。今後は、法改正の要点について中間試案が提示され、パブリックコメントという手続の中で、国民の意見が公募される予定です。パブリックコメントの内容を踏まえた法制審議会の答申が提出された後、法改正へ向けて法案が提出されることになります。

 

参考:法制審議会-家族法制部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007

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