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Child support養育費コラム

2019年12月25日

【最新】2019年12月改訂の養育費の標準的算定式による計算方法

<執筆者:弁護士 生田秀>
2019年12月、新しい算定表が公表されました。
http://www.courts.go.jp/about/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

新しい算定表に基づく養育費の算定方法は、司法研修所編「養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究」の中で明らかにされています。今回は、2019年12月23日以降に家庭裁判所で使用される養育費の算定方式について解説します。
養育費算定計算ツール

基本的な算定方法はいままでと変わりませんが、基礎収入の計算や、子の生活費の計算に使用される変数が変更されています。

(1)標準的算定方式の考え方

親子間の扶養義務は「生活保持義務」であり、扶養義務者である親は、子に対して、自分の生活の保持と同程度の生活を保持する義務があります。

標準的算定方式では、親の収入のうち、仮に子が義務者と同居していた場合にその子のために費やされていた金額はどの程度かを計算し、その金額(子の生活費)を、権利者・義務者の間で収入の割合で按分して、義務者が負担すべき子の生活費=養育費を算出する、という考え方をとっています。

実際の算定は、以下の手順で行います。

(2)基礎収入の計算

まず、親の基礎収入を計算します。基礎収入とは、総収入から、公租公課、職業費(その仕事をするために必要な経費と考えてください)、特別経費(住居費など家計の中の固定費のようなものと考えてください)を控除した、養育費の捻出の基礎となる金額です。もちろん、生活費は各世帯によって異なり、それを個別に計算することはできませんので、総収入から「統計資料に基づいて算出された標準的な割合」を控除して、基礎収入の金額を決めています。

具体的には、総収入(給与所得者であれば源泉徴収票の支払金額)に以下の割合をかけて算出します。

全体として、最新の統計や公租公課の実情を踏まえて、基礎収入割合が従前よりも高くなっています。また、フリーランスで働く人の増加を踏まえてか、自営業者についてより精緻な算定がされるようになりました。

2019年12月改訂の養育費の標準的算定式による計算方法

(3)子の生活費指数

成人が必要とする生活費の指数を100とした場合の子の生活費の指数です。
0~14歳の子は62、15歳以上の子は85として計算します。

15歳以上の子の生活費指数が従前(0~14歳が55、15歳以上が90)より下がった理由は、国公立高校の学費が下がったことによるものです。なお、高等学校等就学支援金を受領している場合であっても、その支給を受けていることを理由に養育費の額が修正されるべきものではないとされています。

(4)子の生活費の計算

養育費の支払義務者が仮に子と同居していた場合、子の生活のために使用されるべき金額は、以下のようになるはずです。

子の生活費=義務者の基礎収入×(子の生活費指数÷(義務者の生活費指数+子の生活費指数))

例えば、8歳の子が一人いる場合(子1人のケース)は、以下の計算になります。

子の生活費=義務者の基礎収入×(62÷(100+62))

10歳の子と16歳の子がいた場合(子2人のケース)では、

子の生活費=義務者の基礎収入×((62+85)÷(100+62+85))

6歳の子と3歳の双子がいた場合(子3人のケース)では、

子の生活費=義務者の基礎収入×((62+62+62)÷(100+62+62+62))

という計算になります。

(5)義務者の負担額

このように計算された子の生活費を、父母がそれぞれの基礎収入に応じて分担すると考えますので、義務者の負担額は以下のように計算されます。

子の生活費×(義務者の基礎収入÷(権利者の基礎収入+義務者の基礎収入))

上記の計算式で算定された金額は年額ですので、これを12で割って、月額の養育費を計算します。

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